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小辻節三(こつじせつぞう)さんという、二次大戦中にユダヤ人を救った偉人のお話です。
2013年は技術書ばかり読んでいたので、久しぶりの歴史関係の本を読みました。
年の瀬で時間がないので、簡単にご紹介。

簡単なあらすじ

“ユダヤ人を救った日本人”と聞くと「命のビザ」を発行した杉原千畝さんがすぐに思い浮かびます。
ただしそのビザはあくまで「通過ビザ」であって、日本に長期間滞在できるものではありませんでした。
さらにそのビザの日本滞在期間はたったの10日間。
10日間で受け入れ先の国を決定して送り出す必要があったが、一体誰がそれを行ったのか。

難民として日本を訪れたユダヤ人を支え、他国へ逃がすために奔走した日本人、それが小辻さんでした。

ユダヤ人と日本人の間のトラブルを仲裁したり、ビザの延長を認めさせるために日本を駆けずり回りました。誰から頼まれた訳でもなく、ただ彼らを救いたいという一心で。

その後彼は軍に捕まって拷問を受けたり、満州へ家族を連れて避難したりと壮絶な人生を送っていますが、
そこで彼を助けてくれたものまた、彼に助けられたユダヤ人達でした。

“百年以内に誰か、自分をわかってくれる人が現われるだろう”

小辻さんは亡くなる直前に、娘さんに語られたそうです。
恥ずかしながら私も小辻さんのことを知りませんでした。日本版wikiには小辻さんのページはまだありません(英語版にはあります)。杉原千畝さんと比べると、なぜここまで知名度がなかったのか。

良い行動を決して隠す必要はない。だが、あからさまにすることは偽善への一歩になりかねないのである

という、彼が少年時代に神道で学んだ精神が根底にあったからかもしれません。
だからこそ、この偉業を成し遂げられたのかもしれません。

全ての日本人に読んで欲しい

もし小辻さんがいなかったらどうなっていたか、本書でも触れられています。

彼がいなかったら、五千人ものユダヤ難民たちはナチスドイツの手に引き渡され虐殺されていたかもしれない。
そして我々日本人がそれに加担したことになったかもしれないのだ。
歴史に埋もれてしまっている小辻をより多くの人に知ってもらいたいと私は思った。

ホロコーストに加担していたら、敗戦後の日本の扱いも大きく変わっていたことでしょう。今こうやって一日中平和に過ごしていられるのも、彼のおかげかもしれません。

また、当時軍がどんな考えを持っていて、どんなやりとりがあったのかも、垣間見ることができます(どこまで正確かは不明ですが)。そういう方面に詳しい人が読んでも面白いのではないのでしょうか。

全体的にやや日本目線な本となっていますが、取材のためにエルサレムを訪ね、小辻さんを知る人から直接聞いた話は感慨深いものがありますので、ぜひ読んでもらいたいと思います。

書籍版

Kindle版

以上。拙い文章ですがお読み頂きありがとうございました。
あとはおそばを食べて、今年は終わり。